【交通安全ニュース】歩行者等との安全な間隔

活用する機会の例

•月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
•毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
•マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

夏休みシーズンになると、子供の行動範囲が広がるとともに帰省や旅行などで人の往来が増えるため、道路の状況が普段と異なります。これに伴い懸念されるのが歩行者等との交通事故の増加です。

歩行者等との交通事故を防ぐには、ドライバーは歩行者等の動きに十分注意を払い、歩行者等の側方を通過するときは、安全な間隔をとることが大切です。

歩行者等との安全な間隔

1.歩行者の交通死亡事故

◆交通事故死者数は歩行中が最も多い

令和4年の交通事故の状態別死者数の割合をみると、歩行中の死者数が自動車乗車中の死者数を上回り、一番多くなっています。歩行中と自転車乗用中を合わせた割合は約50%となっています。

◆歩行者の死亡事故は横断歩道以外でも多い

歩行者について、事故類型別死亡事故件数の割合をみると、道路の横断中が合算して約68%と多い状況ですが、発生場所では、横断歩道以外の場所が約74%を占めており、様々なところで死亡事故が発生しています。

◆事故発生要因はドライバーの不注意が多い

歩行者との交通死亡事故において、ドライバー側に多い法令違反は、「安全不確認」、「漫然運転」、「脇見運転」の3つです。いずれも運転に集中できていないことが原因といえます。

歩行者の急な道路横断や飛び出しなどによる交通死亡事故を防ぐため、ドライバーは常に運転に集中し、歩行者の動きに十分注意を払い、歩行者の保護に努めなければなりません。

2.歩行者との安全な間隔

歩行者は交通事故に遭うと被害が甚大になりやすく、死亡事故につながるおそれもあります。

このため、自動車側の責任は大きく、歩行者保護の観点が求められており、ドライバーは常に運転に集中し、歩行者の存在やその動きに十分注意を払うことが大切です。

道路交通法は、第38条および第38条の2で横断歩道等における一時停止や横断歩道のない交差点における歩行者優先を定めています。また第18条で歩行者の側方を通過するときの安全な間隔の確保または徐行を定めています。

道路外からの歩行者の急な道路横断や飛び出しなどに備えることはもちろんのこと、視界にいる歩行者に注意を払うことも大切です。歩行者の中には自動車の接近に気が付かない人が多くいることを忘れてはなりません。

歩行者の急な道路横断など不測の危険に対処するには、歩行者の側方を通過するときに安全な間隔が必要です。特に子供、高齢者、前を歩く歩行者、 「歩きスマホ」の歩行者に対しては、自動車の接近に気が付いていない可能性が高いため、間隔を長めにとる必要があります。

安全な間隔については、歩行者がこちらに気が付いているときは1m以上、気が付いていないときは1.5m以上と言われています。これを参考として歩行者の予期せぬ行動にも対応できるような安全な間隔を意識して運転しましょう。

3.自転車等との安全な間隔

道路交通法で定めはありませんが、 歩行者と同様に自転車に対してもその動きに注意を払い、安全な間隔をとって運転することが大切です。

近年、シニアカー(電動カート)を公道で見かけるようになり、また7月の法改正により電動キックボードの利用が広まっています。タンデム自転車(二人乗り自転車)も東京都で解禁され、全国の公道で走行が可能になりました。道路の様相が少しずつ変化しています。

これに伴い、交通リスクも多様化しています。自転車等が急に進路を変えるなど不測の危険に対応するには安全な間隔をとる必要があります。

歩行者や自転車等との安全な間隔を意識することは、相手への思いやりでもあります。